管理と修繕
修繕積立金が安すぎる中古マンション、何に気をつければいい?
2026年10月11日 ・ 中古マンション相場チェック(マドリセカンド運営事務局)
中古マンションを探していると、管理費と修繕積立金が驚くほど安い物件に出会うことがあります。毎月の支払いが軽いのはうれしいことですが、「安すぎて大丈夫?」と気になる人も多いはずです。
修繕積立金は、外壁や屋上、配管などを直すためにマンションのみんなで貯めておくお金です。いま安いということは、貯まるペースがゆっくりだということでもあります。この記事では、安いかどうかの見分け方と、安い理由の確かめ方をまとめます。
修繕積立金は「将来の工事代」の前払い
マンションは、建てたあとも定期的に大きな工事が必要です。外壁の補修や塗装、屋上の防水、鉄の部分のさび止め、給水・排水の管の取りかえ、エレベーターの交換などです。こうした工事にかかるお金を、毎月少しずつ貯めているのが修繕積立金です。
管理費が「いまの暮らしのためのお金」(清掃、管理会社への委託、共用部の電気代など)なのに対して、修繕積立金は「これからの工事のためのお金」です。工事の費用そのものは、積立金が安くても高くても変わりません。だから、いま安い分は、どこかで値上げや一時金(工事のときにまとめて集めるお金)として払うことになりやすいのです。
修繕積立金が安いことは、得をしているのではなく、払うタイミングがあとにずれているだけのことが多い。
国の目安と、1㎡あたりでくらべる
安いか高いかを判断する物差しとして、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で目安を出しています。部屋の広さで金額が変わるので、1㎡あたりの月額でくらべます。
| マンションの規模 | 月額の目安(1㎡あたり) |
|---|---|
| 20階未満・延べ床面積5,000㎡未満 | 235〜430円(平均335円) |
| 20階未満・5,000〜10,000㎡ | 170〜320円(平均252円) |
| 20階未満・10,000〜20,000㎡ | 200〜330円(平均271円) |
| 20階未満・20,000㎡以上 | 190〜340円(平均255円) |
| 20階以上 | 240〜410円(平均338円) |
たとえば70㎡の部屋なら、20階未満のマンションで月およそ1万6,450円〜3万100円、平均の335円なら2万3,450円ほどです。もし同じ70㎡で修繕積立金が月8,000円なら、1㎡あたり約114円。目安の下の端よりもかなり低い、ということになります。
なお、目安は建物全体の延べ床面積で分かれています(ふつうの規模なら上の段、大きなマンションほど下の段)。機械式駐車場があるマンションは、その維持費を別に考える必要があります。「ぴったり目安の中に入っているか」より、「大きく外れていないか」を見るくらいの使い方がちょうどいいです。
安い理由は、だいたい3つに分かれる
目安より安いからといって、すぐに問題があるとは限りません。理由によって、受け止め方が変わります。
1. はじめ安く、だんだん上げる計画になっている
修繕積立金の集め方には、大きく2つあります。最初から最後までほぼ同じ金額を集める「均等積立方式」と、はじめは安くして、決まった年ごとに上げていく「段階増額積立方式」です。新築のときに毎月の負担を軽く見せるため、段階増額で始まるマンションは少なくありません。
この場合、いま安くても、長期修繕計画(この先の工事と費用の予定表)に値上げのスケジュールが書かれていれば、計画どおりに進んでいるだけです。ただし、買ったあとに値上げの番が回ってくることは覚えておく必要があります。
2. 値上げの話がまとまらず、据え置かれている
計画では値上げの予定だったのに、総会で反対が多く、金額が上がらないままになっていることがあります。こうなると、計画より積立金が足りなくなり、大規模修繕のときに一時金を集めたり、工事を先のばしにしたりすることにつながります。
3. 戸数が多く、1戸あたりの負担が小さい
大きなマンションは、工事の費用を多くの戸数で分けられるので、1戸あたりの金額が抑えられることがあります。この場合は、安くても無理のない計画になっていることもあります。反対に戸数が少ないマンションは、1戸あたりの負担が重くなりがちです(戸数が少ないマンションの注意点もあわせてどうぞ)。
何を見れば、安い理由が分かる?
理由を知るには、次の書類を不動産会社にお願いして見せてもらうのが近道です。
- 長期修繕計画:いつ、どんな工事に、いくらかかる予定か。積立金をいつ、いくらに上げる予定か
- 重要事項調査報告書:管理会社がまとめる書類で、いまの積立金の残高、滞納の有無、値上げや工事の予定などがのっています
- 総会の議事録:値上げや一時金の話がすでに出ていないか、反対意見が多くないか
見るポイントは、「積立金の残高」と「これからの工事の予定額」がつり合っているかです。長期修繕計画の見方は長期修繕計画の見方でくわしくまとめています。
書類をすぐに用意できない場合でも、「次の値上げはいつで、いくらの予定ですか」「この先、一時金の予定はありますか」と聞くだけで、ある程度のことは分かります。答えがあいまいなときは、確かめてから決めても遅くありません。
毎月の支払いは「値上げ後」で考えておく
修繕積立金が安い物件を検討するときは、いまの金額ではなく、値上げしたあとの金額で毎月の支払いを計算しておくと安心です。
たとえば70㎡で、いまの修繕積立金が月8,000円の物件があるとします。これが国の目安の平均くらい(1㎡あたり335円)まで上がると、月2万3,450円。差は月1万5,000円ほど、1年で18万円になります。住宅ローンの返済に、この金額が上乗せされても続けられるかを考えておきます。
ローンの返済だけで家計がぎりぎりだと、積立金の値上げが重くのしかかります。年収に対する返済の割合は返済負担率の考え方も参考にしてください。住宅ローンのくわしい相談は、銀行や専門家にどうぞ。
手早く知りたいときは
物件ごとに1㎡あたりの金額を計算して、目安とくらべるのは、いくつも物件を見ているとなかなか面倒です。
中古マンション相場チェックでは、物件ページのスクショを貼ると、価格が相場とくらべてどうかに加えて、管理費・修繕積立金が国のガイドラインの目安より高いか低いかも表示します。ローン・管理費・修繕積立金・固定資産税を合わせた毎月の支払いの目安も出せるので、そこに値上げの分を足して考えると、無理がないかの見当がつけやすくなります。
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Q. 修繕積立金はいくらなら安すぎますか?
国土交通省のガイドラインでは、20階未満・延べ床面積5,000㎡未満のマンションで月235〜430円/㎡(平均335円)が目安です。たとえば70㎡なら月およそ1万6,000〜3万円です。これより大きく低いときは、長期修繕計画で今後の値上げの予定を確かめてください。
Q. 修繕積立金が安いマンションは買わないほうがいいですか?
安いだけで決める必要はありません。はじめ安く、だんだん上げる計画になっているだけのこともあります。大事なのは、値上げの予定とその金額が長期修繕計画に書かれていて、自分の支払いの計画に入れられるかどうかです。
Q. 修繕積立金の値上げは、どうやって決まりますか?
管理組合の総会で、区分所有者の話し合いと決議で決まります。購入前に、総会の議事録や長期修繕計画を見ると、値上げがすでに話に出ているかどうかが分かります。
まとめ
- 修繕積立金が安いのは、払うタイミングがあとにずれているだけのことが多い
- 国の目安(20階未満・延べ床面積5,000㎡未満のマンションで月235〜430円/㎡)と、1㎡あたりでくらべる
- 安い理由は「段階的に上げる計画」「値上げの据え置き」「戸数が多い」などに分かれる
- 長期修繕計画・重要事項調査報告書・総会の議事録で、値上げや一時金の予定を確かめる
- 毎月の支払いは、値上げしたあとの金額で考えておく
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