管理と修繕
中古マンションを買う前に、長期修繕計画のどこを見る?
2026年10月22日 ・ 中古マンション相場チェック(マドリセカンド運営事務局)
中古マンションを買うとき、部屋の中はじっくり見ても、マンション全体の「これから」までは見ないまま決めてしまう人が少なくありません。でも、住んだあとの支払いに大きく関わるのは、むしろこちらです。
その「これから」が書かれているのが長期修繕計画です。むずかしそうな表がずらっと並んでいますが、見るところを絞れば、はじめてでも読めます。この記事では、購入前に確かめたい点をまとめます。
長期修繕計画は、工事とお金の「予定表」
長期修繕計画は、マンションの管理組合が作る、この先何十年かの工事と、そのためのお金の予定表です。ふつうは次のようなことが、1年ごとの表になっています。
- いつ、どんな工事をするか(外壁、屋上の防水、鉄の部分の塗装、給水・排水の管、エレベーター、機械式駐車場など)
- その工事に、いくらかかる見込みか
- 修繕積立金を毎年いくら集める予定か(値上げの予定も)
- 年ごとの積立金の残高の見込み
国土交通省のガイドラインでは、計画の期間は30年以上で、大規模修繕を2回以上含む形が目安とされています。大規模修繕(外壁や屋上などをまとめて直す大きな工事)は、およそ12〜15年ごとに行うマンションが多いです。
1. 計画の期間は足りている?
最初に見るのは、計画が何年先まで書かれているかです。30年より短い計画だと、2回目、3回目の大規模修繕や、配管・エレベーターの取りかえのような大きな出費が、表の外にはみ出していることがあります。
とくに築年数がたったマンションでは、外壁や防水だけでなく、給水・排水の管や、エレベーターの交換のように費用の大きい工事が、2回目以降の大規模修繕のころに重なりやすくなります。こうした工事が計画に入っているかを確かめてください。
2. 最後に見直したのはいつ?
長期修繕計画は、一度作れば終わりではありません。工事費や材料費は時代とともに変わりますし、実際に建物を調べてみると、予定より早く直すべきところが見つかることもあります。そのため、数年ごとに見直すことが前提になっています。
表紙や最初のページに、作った日や見直した日が書かれています。新築のときに作ったきり、何年も手が入っていない計画は、いまの工事費とずれている可能性があります。「次の見直しはいつの予定ですか」と聞いてみるのもいい方法です。
計画の中身と同じくらい大事なのが、見直しが続いているかどうか。きちんと見直しているマンションは、管理組合が動いているしるしでもあります。
3. 工事費と積立金の残高はつり合っている?
いちばん大事なのがここです。表の中で、年ごとの積立金の残高の見込みを追っていきます。大規模修繕の年には残高が大きく減りますが、そこでマイナスにならずに済むかを見ます。
見方の例をあげます。
- 工事の年でも残高がプラスのまま→計画どおりなら、お金は足りる見込み
- 工事の年に残高がマイナスになる→値上げ、一時金、借り入れ、工事の先のばしのどれかが必要になる
- 計画のあとのほうで、急に大きな値上げが入っている→つじつまを合わせるために、あとで負担が重くなる形
あわせて、いまの実際の残高が、計画で見込んでいた残高と大きくずれていないかも見ます。実際の残高は、重要事項調査報告書(管理会社が作る、管理の状況をまとめた書類)に書かれています。書類の取り寄せ方は管理状況の確かめ方にまとめています。
4. 修繕積立金の値上げは、いつ、いくら?
計画の中で、修繕積立金がこの先どう変わる予定かも見ておきます。はじめ安くして、決まった年ごとに上げていく「段階増額積立方式」のマンションでは、買ったあとに値上げの年が来ることがあります。最初から最後まで同じくらいの金額を集める「均等積立方式」なら、急な値上げは起きにくい形です。
たとえば、いま月1万円の積立金が、5年後に1万5,000円、10年後に2万円になる予定なら、10年後には月1万円、1年で12万円の支払いが増えます。住宅ローンの返済と合わせて、続けられる金額かを考えておきます。
ここで注意したいのは、計画に書かれた値上げは「予定」であって、決まったことではないという点です。値上げは総会で決めるので、反対が多くて据え置かれることもあります。据え置かれると、そのぶん積立金が足りなくなり、あとで一時金などの形で返ってくることがあります。いまの積立金の水準については修繕積立金が安すぎる物件の見方も参考にしてください。
5. これまでの工事は、計画どおりに進んできた?
計画の先だけでなく、これまでの実績も見ておくと安心です。前の大規模修繕が予定の年に行われたか、そのとき一時金を集めたか、借り入れをしたかなどは、修繕の履歴や総会の議事録で分かります。
予定どおりに工事を終えていて、積立金も大きく足りなくなっていないマンションは、この先も計画にそって進む見込みが高いと考えられます。反対に、工事を何度も先のばしにしている場合は、建物の傷みが進んでいないか、お金が足りていないのかを確かめたいところです。
手早く知りたいときは
長期修繕計画は、取り寄せるまでに時間がかかることもあります。その前に、物件のおおまかな見当をつけておきたいときもあるはずです。
中古マンション相場チェックでは、物件ページのスクショを貼ると、価格が同じ駅で実際に売れた取引とくらべてどうかに加えて、管理費・修繕積立金が国のガイドラインの目安より高いか低いかも表示します。目安より大きく低い物件は、長期修繕計画で値上げの予定をとくにしっかり確かめる、というふうに、書類を読むときの手がかりにしてください。
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Q. 長期修繕計画は、どこで見られますか?
マンションの管理組合が持っている書類で、ふつうは管理会社が保管しています。購入を考えている段階なら、仲介の不動産会社にお願いすると、写しを取り寄せてもらえることが多いです。
Q. 長期修繕計画が古いマンションは、買わないほうがいいですか?
古いだけで決める必要はありませんが、気をつけたい点の一つです。工事費は時代とともに変わるので、長いあいだ見直していない計画は、実際に必要なお金とずれていることがあります。次にいつ見直す予定かを聞いてみてください。
Q. 長期修繕計画がないマンションもありますか?
あります。戸数の少ないマンションや、管理組合の活動が少ないマンションでは、計画がない、または形だけのこともあります。その場合は、これまでの工事の記録と積立金の残高を見て、この先の工事にお金が足りそうかを考えることになります。
まとめ
- 長期修繕計画は、この先の工事とお金の予定表。国のガイドラインでは30年以上・大規模修繕2回以上が目安
- 計画の期間と、最後に見直した時期をまず確かめる
- 大規模修繕の年に、積立金の残高がマイナスにならないかを見る
- 値上げの予定は「予定」。買ったあとの支払いに入れて考える
- これまでの工事が計画どおりに進んできたかも、あわせて見る
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