いくら借りる?
住宅ローンは手取りで考える 額面の年収で出した目安が、家計では重く感じる理由
2026年10月25日 ・ マドリセカンドの中の人(元施主)
「年収の25%なら無理なく返せる」と聞いて計算してみたけれど、毎月の手取りとくらべると、ずいぶん大きな金額に見える。そんなふうに感じた人に向けた記事です。
この記事では、額面の年収と手取りのちがい、手取りから住宅ローンを考える手順をまとめます。結論を先に言うと、返済負担率などの目安は額面の年収で計算するので、手取りで割ると割合は大きく見えます。その「大きく見える数字」こそ家計で感じる重さに近いので、手取りでも一度計算しておくと安心です。
額面と手取りのちがい
額面の年収は、会社から支払われるお給料とボーナスの合計です。源泉徴収票の「支払金額」がこれにあたります。そこから、次のようなお金が引かれた残りが手取りです。
- 所得税・住民税
- 健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料
- 会社によっては、財形貯蓄・社員持株会・組合費など
引かれる額は、年収の大きさだけでなく、扶養している家族の人数、住んでいる地域、加入している健康保険などで変わります。そのため、「年収○万円なら手取りは○万円」と一律には言えません。自分の手取りは、源泉徴収票や給与明細で確かめるのがいちばん確かです。
自営業やフリーランスの人は、売上や所得から税金・国民健康保険・国民年金などを払った残りが、実際に使えるお金になります。審査で見る年収の考え方も会社員とちがうことが多いので、金融機関に確かめておきましょう。
目安の計算は、ほとんど額面で出ている
住宅ローンの話に出てくる数字は、ほとんどが額面の年収で計算されています。
- 返済負担率(年収に対する、1年の返済の割合):1年の返済額÷額面の年収
- 年収倍率:借入額÷額面の年収
- 金融機関の審査の上限(30〜35%くらいが多い)も、額面の年収で見ることが多い
「無理のない目安は年収の20〜25%」と言うときの年収も、額面です。つまり、目安の数字をそのまま手取りに当てはめると、ずれが出ます。返済負担率の考え方は返済負担率の目安の記事でくわしく書いています。
手取りで割ると、割合はどう見える?
例えば、額面の年収500万円で、返済負担率25%に収まるように借りたとします。1年の返済は125万円、毎月にすると約10.4万円です(35年・金利0.9%なら、借入額は約3,750万円)。
この毎月約10.4万円を、ボーナスを除いた毎月の手取りで割ってみます。手取りは家庭によってちがうので、いくつかの例で計算すると次のとおりです。
| 毎月の手取り(ボーナス除く・例) | 毎月の返済約10.4万円の割合 |
|---|---|
| 24万円 | 約43% |
| 26万円 | 約40% |
| 28万円 | 約37% |
| 30万円 | 約35% |
※金利は例です。ボーナス払いなし・元利均等返済で計算しています。
額面では25%でも、毎月の手取りとくらべると3〜4割に見えます。ボーナスがある家庭では、毎月のお給料だけで返済をまかなうことになるので、なおさら重く感じやすくなります。
手取りで見た割合が大きくても、それだけで「借りすぎ」とは限りません。大事なのは、その返済をしたあとに、生活費と貯金がちゃんと残るかどうかです。
手取りから、返せる額を出す手順
手取りで考えるなら、割合ではなく「引き算」で出すのが分かりやすい方法です。
- 毎月の手取りを書き出す:ボーナスは別にして、毎月入ってくる額だけで考える
- 住まい以外の毎月の支出を引く:食費・光熱費・通信費・保険・車・こづかいなど
- 毎月の貯金を引く:教育費・車の買い替え・老後のための積み立てなど
- 家を持つと増えるお金を引く:固定資産税・火災保険・修繕の積み立てなどを、月あたりにならして引く
- 残った額を、毎月の返済の上限にする
例えば、手順5で残った額が毎月8万円だったとします。35年・ボーナス払いなしなら、借入額は金利0.9%で約2,880万円、金利1.9%で約2,450万円です。額面500万円の家庭なら、返済負担率は約19%になります。額面の25%(約3,750万円)よりかなり少なくなりますが、これが家計から出した「返せる額」です。
反対に、引き算をしてみたら額面の25%より多く残る家庭もあります。どちらが正しいというより、手取りから出した額と、額面の目安の両方を見て、間のどこにするかを家族で決めるのがおすすめです。
手順4の「家を持つと増えるお金」
固定資産税は、土地と建物の評価額によってちがい、新築の建物は一定の期間軽くなるしくみもあります。くわしい金額は、住宅会社や市区町村で確かめてください。家を持ったあとの毎月のお金は、家を持つと毎月かかるお金の記事でまとめています。
手取りは、これから変わることもある
手取りは、ずっと同じではありません。住宅ローンは長く返していくので、手取りが変わる場面も考えておくと安心です。
- 産休・育休や、時短勤務・転職で収入が変わる
- 子どもが扶養から外れる、年齢によって社会保険料が変わる
- 昇給や昇進で手取りが増える
- 定年や再雇用で収入が下がる
共働きで夫婦の年収を合わせて借りる場合は、片方の手取りが減っても返済を続けられるかを見ておくと安心です。いまの手取りだけでなく、返し終わるまでの手取りの変わり方も、ざっくり話しておくとよいです。
借りる前に確かめたいこと
- 源泉徴収票や給与明細で、自分たちの手取りを確かめた?
- 毎月の返済を、ボーナスを除いた毎月の手取りとくらべた?
- 返済のあとに、生活費と貯金がちゃんと残るか引き算した?
- 固定資産税など、家を持つと増えるお金も入れた?
- 産休・育休や転職などで、手取りが減ったときも話した?
- 金融機関に、審査でどの年収を見るか聞いた?
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Q. 住宅ローンの審査は、手取りで見られますか?
金融機関の審査では、税金や社会保険料が引かれる前の額面の年収で計算することが多いです。ただ、どの年収をどう見るかは金融機関ごとにちがうので、借りる先に確かめてください。家計で考えるときは、手取りで計算しなおすのがおすすめです。
Q. 手取りの何%までなら、住宅ローンを返していけますか?
手取りに対する割合の決まった目安はありません。同じ手取りでも、家族の人数や車の有無、教育費の考え方で、返済にあてられる額は変わります。手取りから生活費と貯金を引いて、残る額から考えるのが確かです。
Q. 自分の手取りの年額は、どこで分かりますか?
会社員なら、源泉徴収票の支払金額から、所得税・社会保険料・住民税(給与明細で毎月引かれている額の1年分)を引くと、だいたいの手取りが出ます。毎月の給与明細の「差引支給額」を12か月とボーナス分で足しても分かります。
まとめ
- 住宅ローンの目安や審査の数字は、ほとんど額面の年収で計算している
- 手取りで割ると割合は大きく見える。それが家計で感じる重さに近い
- 手取りから生活費・貯金・家を持つと増えるお金を引いて、返せる額を出す
- 手取りから出した額と額面の目安の両方を見て、家族で決める
- 手取りはこれから変わることもあるので、変わったときも考えておく
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