お金と保証
家づくりの予算は、どう決める? 「借りられる額」ではなく「暮らせる額」から、総額で考えよう
2026年10月29日 ・ マドリセカンドの中の人(元施主)
家づくりを考え始めると、すぐにぶつかるのが「予算はいくらにすればいいの?」という問いです。住宅会社に聞かれても、答えに困ってしまう人は多いと思います。
予算の決め方でいちばん大事なのは、「いくら借りられるか」ではなく、「この先も無理なく暮らせるか」から考えることです。そしてもうひとつ、建物の値段だけでなく、住むまで・住んでからのお金をふくめた総額で考えることです。
この記事では、予算を決める順番と、総額に入るお金、住宅会社への伝え方をまとめます。金額の目安は家族ごとに大きくちがうので、ここでは数字ではなく考え方の順番を書きます。
予算を決める順番
予算は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 毎月、無理なく払える額を家族で決める
- 手元に残しておきたいお金を決め、家づくりに出せる自己資金を出す
- 毎月の額から考えた借り入れと、自己資金を足して、使える総額を出す
- 総額から、建物以外にかかるお金を引いて、建物にかけられる額を出す
多くの人は、建物の値段から考え始めて、そこに足りない分を借りる、という順番になりがちです。でも、順番を逆にして、暮らしから家の値段を決めるほうが、住んでから苦しくなりにくくなります。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」はちがう
住宅ローンには、金融機関が決める「借りられる額」があります。でも、それは「その額を借りても家計が回る」という意味ではありません。
無理なく返せる額を考えるときは、いまの家賃と比べるだけでなく、次のようなことも思い浮かべてみてください。
- 子どもの教育費が増える時期
- 車の買い替え、家電の買い替え
- 働き方が変わる可能性(育休・転職・時短など)
- 家族の趣味や旅行など、大事にしたい暮らしのお金
- 年を重ねたときの暮らしと、ローンを返し終える時期
金利のタイプ(ずっと同じか、変わることがあるか)によっても、この先の返済は変わります。どのタイプがいいかは家庭によってちがうので、金融機関の説明をよく聞き、分からないことは確かめましょう。
家計全体のことは、住宅会社の担当の人より、ファイナンシャルプランナーなど別の立場の人に相談すると、落ち着いて考えやすくなります。家を売る側ではない人の意見を一度聞いておくと、判断の支えになります。
手元に残すお金を先に決める
自己資金(貯金から出すお金)は、多く出せば借り入れは減りますが、全部を家に使ってしまうと、住んでからの急な出費に困ることがあります。
先に、手元に残しておきたいお金を決めておきましょう。
- 病気や仕事の変化など、もしものときの生活費
- 引っ越し・家具・家電など、住み始めるときにかかるお金
- 近いうちに予定している大きな出費
残しておくお金を決めてから、残りを家づくりに回す。この順番にしておくと、「家は建ったけれど、手元に何も残らない」という状態を防ぎやすくなります。
総額に入るお金の内訳
家づくりの総額には、建物の値段のほかにも、いろいろなお金が入ります。
| 分け方 | 主な中身 |
|---|---|
| 土地 | 土地の代金、仲介の手数料、登記など(土地から探す人) |
| 建物本体 | 建物そのものの工事 |
| 付帯工事 | 給排水・ガスの引き込み、地盤の調査・改良、外構、照明・カーテン・エアコンなど |
| 諸費用 | 登記、ローンの手数料、火災保険、税金、各種の申請など |
| 住み始めるお金 | 引っ越し、仮住まい、家具・家電、近所へのあいさつなど |
| 予備費 | 打ち合わせで増えたもの、地盤など思わぬ工事のための余裕 |
建物以外のお金は、土地の条件や暮らし方で大きく変わります。とくに予備費は見落としがちですが、打ち合わせが進むと「やっぱりこれを入れたい」が出てくるものなので、最初から総額の中に入れておくと安心です。
見積もりの中で、どれが入っていてどれが入っていないかの確かめ方は、見積もりの比べ方の記事にまとめています。坪単価だけで建物の値段を見積もらないほうがいい理由は、坪単価で比べてはいけない理由の記事をどうぞ。
住んでからかかるお金も、予算のうち
家は、建てたら終わりではありません。住んでからも、毎年・数年ごとにお金がかかります。
- 固定資産税など、毎年かかる税金
- 火災保険・地震保険の更新
- 光熱費(家の大きさや断熱の性能で変わります)
- 点検・メンテナンス(屋根や外壁の手入れ、設備の交換など)
毎月のローンの額だけでなく、こうしたお金も家計に入れて考えておくと、「住んでから思っていたより苦しい」を防ぎやすくなります。メンテナンスの時期や中身は会社によってちがうので、保証の条件とあわせて確かめましょう。保証の読み方は、「最長60年保証」の読み方の記事にまとめています。
断熱の性能が高い家は光熱費がおさえやすい、メンテナンスの間隔が長い外壁は手入れの回数が減る、というように、建てるときのお金と、住んでからのお金はつながっています。建てるときの金額だけで比べず、長い目で見て考えてみてください。
どこにお金をかけるか、家族で決める
予算が決まったら、その中でどこにお金をかけて、どこをおさえるかを家族で話しておきます。全部を少しずつ良くしようとすると、総額はふくらみがちです。
- 家族それぞれが、お金をかけたいところを3つ書き出す
- あとから変えにくいもの(構造・断熱・窓・間取り)と、あとから変えられるもの(設備・内装・外構の一部・家具)に分ける
- あとから変えにくいものを優先し、変えられるものは「住んでから少しずつ」も考える
家族で優先したいことが分かれているときは、ハウスメーカー相性診断で、それぞれが大事にしたい軸(自由度・性能・デザイン・価格・提案・安心)を見比べてみると、話し合いのきっかけになります。
住宅会社への予算の伝え方
予算をはっきり伝えると、上限まで使われてしまうのでは、と心配になる人もいます。ただ、予算を伝えないと、自分たちに合わない提案が出てきやすく、比べるのも難しくなります。
伝えるときのコツです。
- 総額で伝える(建物だけの額ではなく、付帯工事や諸費用もふくめて)
- 「上限」と「できればこのくらい」を分けて伝える
- お金をかけたいところ、おさえたいところも伝える
- どの会社にも同じ伝え方をする
同じ予算を伝えても、提案や見積もりの中身は会社ごとにちがいます。予算の中で、自分たちの優先したいことにどれだけ応えてくれているか。そこを比べると、各社の考え方の違いが見えてきます。
予算を決めるときのチェックリスト
- 毎月、無理なく払える額を家族で決めた?
- これからの教育費・車・働き方の変化を思い浮かべた?
- 手元に残しておきたいお金を先に決めた?
- 土地・本体・付帯工事・諸費用・住み始めるお金・予備費をふくめた総額で考えた?
- 税金・保険・光熱費・メンテナンスなど、住んでからのお金も家計に入れた?
- お金をかけたいところ、おさえたいところを家族で決めた?
- 住宅会社には、総額で、上限と希望を分けて伝えた?
- 家計全体のことを、住宅会社とは別の立場の人に相談するか考えた?
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Q. 予算は、ハウスメーカーに相談してから決めてもいいですか?
相談しながら考えるのは自然なことですが、話を聞く前に、家族で「毎月これくらいなら無理なく払える」という目安だけでも決めておくのがおすすめです。目安があると、提案や見積もりを自分たちの物差しで見やすくなります。
Q. 住宅ローンは、いくらまで借りていいのでしょうか?
借りられる額と、無理なく返せる額は同じではありません。いまの家計、これからの教育費や車の買い替え、住んでからかかるお金まで含めて考える必要があります。家計全体で考えたいときは、ファイナンシャルプランナーなど、住宅会社とは別の立場の人に相談するのもひとつの方法です。
Q. 予算をハウスメーカーに正直に伝えると、上限まで使われませんか?
心配になる気持ちは自然です。伝えるときは「総額でこのくらいまで。できれば少し下におさえたい」のように、上限と希望を分けて伝えるのがおすすめです。どこにお金をかけて、どこをおさえたいかも一緒に伝えると、提案がそれに沿っているかで比べやすくなります。
まとめ
- 予算は「借りられる額」ではなく、「この先も無理なく暮らせる額」から決める
- 手元に残すお金を先に決めてから、家づくりに出せるお金を出す
- 建物の値段だけでなく、付帯工事・諸費用・住み始めるお金・予備費をふくめた総額で考える
- 住んでからかかるお金も予算のうち
- 住宅会社には総額で、上限と希望、お金をかけたいところを分けて伝える
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