お金と保証
坪単価でハウスメーカーを比べてはいけない理由。同じ「1坪あたり」でも、会社ごとに中身がちがいます
2026年10月11日 ・ マドリセカンドの中の人(元施主)
展示場やチラシで、まず目に入るのが「坪単価」。家づくりの情報を集め始めると、「あの会社は高い」「ここは安い」と、つい坪単価で会社を並べたくなります。
でも、坪単価は会社ごとに計算のしかたがちがう数字です。同じ「1坪あたり」と書いてあっても、中に入っているものも、割っている面積も同じとはかぎりません。そのまま並べると、安く見えた会社があとから高くなったり、その逆が起きたりします。
この記事では、坪単価がずれる理由と、代わりに何で比べればいいかをまとめます。どこかの会社をすすめる記事ではなく、数字にふり回されずに比べるための考え方の記事です。
坪単価とは、家の値段を面積で割った「目安」
坪単価は、家の値段を広さ(坪)で割って、「1坪あたりいくらか」を出した数字です。1坪はおよそ畳2枚分の広さです。
家の大きさがちがっても比べやすくなるので、価格帯をざっくりつかむには便利です。ただし、ここで大事なのは、坪単価には決まった計算のルールがないということ。「家の値段」に何を入れるか、「広さ」をどう数えるかは、会社がそれぞれ決めています。
坪単価は「会社がそれぞれのルールで出した目安」です。ちがう会社の坪単価を並べるのは、ちがう物差しで測った長さを比べるのに近いことになります。
ずれる理由1:「家の値段」に何を入れているか
家を建てるお金は、大きく3つに分けて考えられます。
| 分け方 | 主な中身の例 |
|---|---|
| 本体工事 | 建物そのもの。基礎、構造、屋根、外壁、内装、標準の設備など |
| 付帯工事 | 建物のまわりの工事。給排水やガスの引き込み、外構、地盤の改良、照明やカーテン、エアコンなど |
| 諸費用 | 工事以外のお金。登記、ローンの手数料、保険、税金、地鎮祭や引っ越しなど |
坪単価として出される数字は、本体工事だけで計算していることが多いと言われます。ただ、どこまでを「本体」に入れるかも会社ごとにちがいます。たとえば、照明やカーテン、エアコンが本体に入っている会社もあれば、別の項目にしている会社もあります。
付帯工事や諸費用は、土地の条件や暮らし方で大きく変わるので、坪単価からはまず見えてきません。坪単価が同じくらいに見える2社でも、実際に払う総額は大きくちがうことがあります。
ずれる理由2:どの面積で割っているか
割る側の「広さ」にも、いくつかの数え方があります。
- 延床面積:各階の床面積を足したもの。建築確認などで使われる面積で、ふつう吹き抜けやバルコニーなどは入りません
- 施工面積:実際に工事をする面積として会社が数えるもの。バルコニー、玄関ポーチ、吹き抜けなどを入れることがあり、どこまで入れるかは会社しだいです
同じ家でも、施工面積のほうが延床面積より大きくなることが多いので、施工面積で割ると坪単価は低く見えます。どちらが正しいということではありませんが、ちがう面積で割った数字を並べても、比べたことにはなりません。
坪単価を聞いたら、「何で割っていますか?」と一言たずねてみてください。それだけで、数字の見え方がかなり変わります。
ずれる理由3:「標準」の中身と、家の形・大きさ
標準仕様がちがう
坪単価は、その会社の「標準仕様」で建てたときの目安として出されることが多いです。ところが、何が標準に入っているかは会社ごとにちがいます。窓の性能、断熱のしかた、キッチンやお風呂のグレード、床材など、ある会社では標準のものが、別の会社ではオプション(追加の費用)ということはよくあります。
標準の中身がちがえば、坪単価が低く見えても、希望をかなえるためにオプションを足すと、総額が上がっていくことがあります。
家の大きさや形でも変わる
キッチン、お風呂、トイレ、玄関ドアなどは、家が小さくても大きくても必要です。そのため、家を小さくすると、総額は下がっても坪単価は上がって見えることがあります。また、凹凸の多い形や、総2階かどうかなどでも、同じ面積あたりの費用は変わります。
カタログやチラシの坪単価は、特定の大きさや形の家を前提にしていることがあります。自分たちの家の大きさや形で同じ数字になるとはかぎりません。
坪単価の代わりに、何で比べる?
おすすめは、同じ条件を伝えてつくってもらった「総額の見積もり」で比べることです。
- 各社に、家族構成・ほしい広さ・暮らしの希望・予算の考え方など、同じ条件を伝える
- 本体工事だけでなく、付帯工事と諸費用もふくめた総額を出してもらう
- 「この見積もりに入っていないもの」を書き出してもらう
- 標準でついてくるもの、オプションになるものを確かめる
見積もりの並べ方や、見落としやすい項目については、見積もりの比べ方の記事にまとめています。また、そもそも総額をいくらまでにするかは、家づくりの予算の決め方の記事が参考になります。
価格は、比べる軸のひとつにすぎません。性能、デザイン、間取りの自由度、提案の中身、建てたあとの安心など、ほかの軸とのバランスで考えることも大切です。自分たちが何をいちばん大事にしたいかを整理したいときは、ハウスメーカー相性診断で6つの軸(自由度・性能・デザイン・価格・提案・安心)に分けて確かめることもできます。
坪単価を聞いたときの「3つの質問」
坪単価を話題にするのが悪いわけではありません。数字を聞いたら、次の3つをセットで聞いておくと、あとで比べやすくなります。
- 「この坪単価には、どこまでの工事や設備が含まれていますか?」
- 「延床面積で割っていますか、施工面積で割っていますか?」
- 「付帯工事や諸費用は、だいたいどんな項目が別にかかりますか?」
答えてもらった内容は、その場でメモしておきましょう。口頭の説明だけだと、あとから「そういう意味だったのか」となりやすいので、お金に関わることはできるだけ書面で確かめておくと安心です。
はっきり答えられない場合でも、それだけで悪い会社というわけではありません。「確認してお返事します」と言ってもらえるか、説明が分かりやすいかも、担当の人との相性を見るヒントになります。
坪単価を見るときに、気をつけたいこと
「坪単価が安い=総額が安い」とはかぎらない
坪単価に入っていないものが多いほど、数字は低く見えます。安いかどうかは、総額と中身を見るまで判断しないようにしましょう。
「坪単価が高い=高い会社」とも決めつけない
反対に、最初から多くのものを含めて計算している会社は、坪単価が高めに見えることがあります。総額で比べると、印象が変わることもあります。
ネットの坪単価をうのみにしない
ネットや口コミで見かける坪単価は、いつの話か、どんな条件の家か、何を含めた数字かが分からないことがほとんどです。資材や人件費の動きで、価格は時期によっても変わります。あくまで「そういう話もある」くらいにとどめて、実際の金額は各社に確かめてください。
坪単価を聞いたときのチェックリスト
- その坪単価に、本体工事のどこまでが含まれているか聞いた?
- 照明・カーテン・エアコンなどが、本体に入っているか別か確かめた?
- 延床面積と施工面積、どちらで割った数字か聞いた?
- 付帯工事(給排水・外構・地盤改良など)が別にかかるか確かめた?
- 諸費用(登記・ローン・保険・税金など)がどれくらいの項目になるか聞いた?
- 標準仕様に入っているもの、オプションになるものを確かめた?
- 自分たちの家の大きさ・形で、総額の見積もりをもらった?
- 各社に、同じ条件を伝えて見積もりをお願いした?
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Q. 坪単価はまったく参考にならないのですか?
参考にはなります。ただ、会社ごとに「何を含めて」「どの面積で割って」いるかがちがうので、別の会社の坪単価をそのまま並べて比べるのには向きません。ざっくりした価格帯をつかむ目安として使い、比べるときは、同じ条件でつくった総額の見積もりで見るのがおすすめです。
Q. 坪単価を聞いたら、何を一緒に聞けばいいですか?
「この坪単価には何が含まれていますか」「延床面積で割っていますか、施工面積で割っていますか」「付帯工事や諸費用は別ですか」の3つを聞いておくと、ほかの会社と比べるときに迷いにくくなります。答えはメモか書面で残しておきましょう。
Q. 家を小さくすると、坪単価は下がりますか?
総額は下がることが多いですが、坪単価は上がって見えることがあります。キッチンやお風呂、玄関など、家の大きさにかかわらず必要なものの費用は、面積が小さくなっても大きくは減らないためです。坪単価の上下より、総額と暮らしやすさで判断するのがおすすめです。
まとめ
- 坪単価は、会社がそれぞれのルールで出した「目安」。決まった計算のしかたはない
- ずれる理由は、何を含めるか(本体・付帯工事・諸費用)、どの面積で割るか(延床・施工)、標準の中身と家の形
- 坪単価を聞いたら、「何を含めて」「何で割って」「何が別か」をセットで聞く
- 比べるときは、同じ条件でつくってもらった総額の見積もりで
- 価格は軸のひとつ。ほかの軸とのバランスで考える
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